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 若し三千大千国土に、中に満つる怨賊あらんに、の商主有りて、諸の商人をいて重宝齎持して、しき路を経過せば、その中に一人、この唱言を作さん、「諸の善男子よ、恐怖するを得ること勿れ。

汝等よ、応当に一心に観音菩薩の名号うべし。この菩薩は能く無畏を以って衆生にししたもう。汝等よ、若しを称うれば、この怨賊よりまさに解脱るることを得べし」と。の商人は聞きて倶に声をげて「南無観世音菩薩」と言わん。そのうるが故に、即ち解脱るることを得ん。無尽意よ、観世音菩薩・摩訶薩は威神の力の巍巍たること、かくの如し。

 

怨賊とはただ盗みを働くだけでなく、人を殺しもする者たちです、いつの時代でも、しかも三千大千国土、つまり何処にでもいる者です。 そんな中、一人の商主、リーダーに導かれた多くの商人が高価な品々抱えて旅に出たとしましょう、山中の険しい、寂しい路にさしかかれば、誰もが賊を恐れ不安な気持ちになり、中には逃げ出してしまう者もあるやも知れません、そんな時リーダーの商主は「皆さん怖がる事はありません。

  一緒に観音菩薩のお名前を称えましょう、そうすれば不安な心は打ち消され怨賊からも免れることが出来ます」と言ったのです、一緒にいた大勢の商人たちはその言葉に励まされ皆観音菩薩のみ名を称えました。とたんに皆の心にあった恐れや不安な心はたちどころに打ち消され無事旅を続けることができるのです。釈尊は弟子の無尽意菩薩に観音菩薩の力が山の如く気高く大きなものである事を教えています(写真2)

 




写真1





写真2

一口豆知識 〜漢字について〜 

 

 「ちんぷんかんぷん」はその元が「陳文漢文」、経典の漢字は古代インド語(梵語)の発音に漢字を当てたものが多く、仏様の名前や真言は音声だけでは意味が不明と言うところから出たものです。

  象形文字を発展させて出来た漢字をよく視ると一字の中にその意味がいっぱい詰まっています。 「怨」は人が坐して心に憂えることがあって祈るような心情をあらわす所から「うらむ、いかりにくむ、かなしむ」(平凡社刊、白川静、字通を参照)の意味をなし、それと「ころす、ぬすむ」などの意味を持つ「賊」の字をあわせて「怨賊」と書きあらわし、形声は省くとして高大雄偉のさまを表す「巍巍」(同、字通)など難しい字ほど意味深いものが多くあります。  

ではちょっと一服、(写真3)「動物?の絵の中に漢字が二つ書いてあります、どちらも同じ読みです、お分かりですよね!」

 

 


 
 
〜 〜余慶の扉〜 〜

今回の賊難は宝物を持って旅をする商人と、それを襲わんとする盗賊のお話しです。

観音様は私達衆生に当てはめて良くお聞き下さいと其の真意をお示しです。 商人に限らず誰しもが物的な財産や地位や名誉を含め己の欲望を満たす為に働いているような気がします。 何らかの目標を達成する為には必要な物も有りますが、得たものに執着心が出てくると大変です。 目標を達成したら、同じように必要としている人に分け与えるか譲ればいいものを、得た物(財産など)はもっと多く欲しくなり、地位や名誉も、もっと上を欲しがり際限が有りません、と同時に得たものへの執着心が、その物を失う事への恐れから少しの物音にもびくびくし、己の保身の爲に他の人を傷つける始末です、「怨賊」は自分自身の中にあることを知り、執着心すなわち「煩悩」を捨て去った時、観音様は尽きる事のない幸せを貴方にくださいます。





       
 

 




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