奈良県国立博物館蔵 十王図の内 初江王図部分

 
縛られた罪人の舌を、両手に持った金鋏で引き抜かんとする青鬼、罪人の口中からしたたり落ちる血が地上を真紅に彩る。
生前の悪業によって亡者は、審判の結果、妄語の罪で、舌抜きの刑に処せられたのである。
妄語とは嘘をついたり、二枚舌をつかい、悪口を言ったり、飾った言葉や無駄なおしゃべりをすることである。
まさに、小さな嘘をついたことから、大きな嘘へとどんどんふくれあがっていくことだってある。ことばによって相手は傷つけられ、怨みを抱かせる結果となることもある。ことばとは人を幸せにもできるし、不幸にもできる取り扱いが大変難しい代物である。
我々は、一生のうちに、どれだけ妄語を語っていくのだろうか。


[解説に使用した参考書]
--だれにでもわかる地獄のおはなし--  佐藤俊明著  維摩出版
--こころを読む往生要集--  石上善應著  NHKサービスセンター発行